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ブース設計・デザイン・レイアウト

展示品を「全部並べる」ブースほど、来場者の記憶に残らない理由

イシモトキンヤ

2026/9/1 05:29

展示会が近づくと、机の上に並べる商品がどんどん増えていきませんか。「これも見せたい」「あの新製品にも興味を持ってもらえるかもしれない」。そう考えるたびに展示台は賑やかになり、準備を終えた頃には「いろいろアピールできて良さそうだ」と一安心してしまう。実はその安心感こそ、来場者の記憶に何も残らないブースをつくってしまう最初のサインかもしれません。

良かれと思って商品を並べる「百貨店思考」

なぜ担当者は商品を並べたくなるのでしょうか。理由は単純です。展示会は年に数回しかない機会であり、「誰か一人にでも刺されば」という気持ちが働くからです。せっかく持って行くなら、主力製品も新製品も、こだわりの技術も、全部見てもらいたい。社内でも「これも展示すべきでは」という声が上がり、断りづらい。結果として、机の上にはたくさんの商品が並びます。

これは、百貨店の陳列棚に近い発想です。百貨店は、幅広い客層の中から「誰かの興味」に引っかかるよう、あえて多くの商品を並べます。来場者側も「見て回る」ことを目的に来ているので、この方式が成立します。

しかし、展示会場を歩く来場者は違います。数百のブースの前を、足早に通り過ぎていく人たちです。彼らはブースを「見て回る」つもりはなく、自分に関係あるかどうかを一瞬で判断しながら歩いています。この状態で商品を10点並べても、来場者は「結局、何をしている会社なのか」を一瞬で理解できません。理解できないものには、足が止まりません。

問題は、商品をたくさん持って行ったことではありません。「何を一番伝えたいのか」を決めないまま、判断を来場者に委ねてしまっていることです。選ぶ手間を来場者に渡した瞬間、ほとんどの人は選ばずに通り過ぎます。

さらに厄介なのは、この状態が準備の現場では「問題」に見えないことです。展示台が賑やかで、資料も豊富で、担当者の目には「ちゃんと準備できている」ブースに映ります。本当に問題が起きているのは展示会当日、来場者の視点に立ったときだけです。準備段階では気付きにくいからこそ、判断基準を先に決めておく必要があります。

判断基準は「1点突破」。主役以外はすべて脇役にする

では、何を基準に展示品を決めればよいのでしょうか。SHOWCASEでは、1〜2小間の小さなブースにおいて「1点突破」を基本の判断基準として考えています。主役となる商品・サービスを一つだけ決め、それ以外はすべて主役を補足する脇役として扱う、という考え方です。

この判断は、単独では決まりません。展示会準備の因果関係、つまり「目的 → ターゲット → 課題 → 訴求 → 来場者行動 → ブース」という順番の中で決まります。

まず、今回の展示会で本当に会いたい相手(ターゲット)を一人思い浮かべてください。その人が今、一番困っていること(課題)は何でしょうか。その課題に対して、自社が持つ商品・サービスの中で、最も鋭く刺さる答え(訴求)はどれか。この問いに答えた結果が、展示台の主役になります。逆に言えば、この問いに答えられない商品は、今回のブースでは脇役でしかありません。

なぜ、これが商談機会につながるのか。来場者がブースの前を通る一瞬で起きているのは、「おや?」という気づきです。この「おや?」は、情報量の多さでは生まれません。むしろ情報が多いほど、脳は一瞬で処理しきれず、素通りを選びます。逆に、一つの象徴的な商品と一つの強いメッセージに絞られていれば、来場者の頭の中に「何をしている会社か」という像が一瞬で結ばれます。像が結べて初めて「へぇ。」という興味が生まれ、足を止め、近づき、「そうなんだ。」という理解に進み、スタッフとの接触、そして商談へとつながっていきます。

「見せる数を減らすと、機会を逃すのではないか」という不安はよく分かります。しかし、伝わらなかった情報は、置いていないのと同じです。SHOWCASEでは、10個の情報を薄く並べるより、1個を強く伝えるほうが「おや?」を生みやすく、結果として来場者行動にも商談化にもつながりやすいと考えています。

主役の選び方に迷ったら、「これは、今日会いたい相手の課題に直接答えているか」を基準にしてください。答えているものが一つも見当たらない場合は、商品そのものよりも先に、ターゲットと課題の設定を見直す必要があります。

もう一つ、判断を鈍らせる考え方があります。それは「全部を平等に見せれば、公平で誠実だ」という感覚です。しかし来場者にとっては、平等に扱われた10点の商品は、結局どれも印象に残りません。全部を同じ強さで見せることは、実質的には何も強く見せていないのと同じです。主役を一つ選ぶという判断は、他の商品を否定することではなく、「今日、誰の、どんな課題に応えに来たのか」をブース自身に語らせるための選択です。

今日やること|展示品を3点以内に絞る

今、展示会に持って行く予定の商品・サービスをすべて紙に書き出してください。次に、「今日会いたい相手の課題に、直接答えているのはどれか」を基準に、主役を1点だけ選び、丸をつけてください。主役を補足する立場で残す候補は、多くても2点までです。

完了の基準はシンプルです。展示台の上に置く予定のものが、主役1点+補足2点、合計3点以内になっていること。それ以外は、今回のブースでは机の下にしまう候補として脇に置いてください。

まとめ

展示会で問われているのは、商品をどれだけ見せられるかではなく、来場者の記憶に何を一つ残せるかです。


この記事を読んで、「自社のブースも商品を並べすぎているかもしれない」と感じた方へ。

SHOWCASEでは、現在のブースを「認知 → 興味 → 理解 → 接触 → 商談」の流れに沿って確認し、どこで来場者を取りこぼしているのかを無料で診断しています。

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