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集客・キャッチコピー・訴求設計

展示会のBGMは「賑やかし」ではありません|人波で視覚が遮られたときに効く、音の使い方

イシモトキンヤ

2026/9/6 02:34

ブースにスピーカーを置き、会社のイメージに合いそうなBGMを選ぶ。展示会の準備で、ここは「なんとなく」で決めていないでしょうか。曲選びにはそれなりに時間をかけたのに、「その音で来場者に何をしてほしいのか」までは決めていない。もしそうなら、あなたのブースの音は今、会場の雑音の一部になっているかもしれません。

「無音だと寂しいから」で音を流していないか

音は、装飾の延長として扱われがちです。ブースが静かだと閑散として見える。だから何か流しておく。この発想自体が悪いわけではありません。問題は、目的を決めないまま音を選んでいる状態です。

展示会場は、もともとうるさい場所です。何百というブースの説明音声、人の話し声、機械の稼働音が常に鳴っています。その中に「雰囲気づくりのためのBGM」を足しても、雑音の総量が少し増えるだけで終わります。

そしてもう一つ、小さなブースには視覚だけでは埋められない弱点があります。1〜2小間は、そもそも見える面積が小さい。通路に人が2〜3人立ち止まっただけで、キャッチコピーもパネルも背中で隠れてしまいます。隣のブースに人だかりができれば、その時間帯はあなたのブースの入口が物理的に塞がれた状態になります。

認知を視覚だけに頼っているブースは、人の流れ次第で機能が止まります。ブースの前は通っているのに、気づかれないまま通過されていく。これは見せ方が下手だったのではなく、視覚以外の入口を用意していなかったという設計の問題です。

音が担当するのは「雰囲気」ではなく「おや?」

視覚と聴覚には、決定的な違いがあります。視覚は遮られますが、聴覚は遮られません。背中を向けていても、人混みの向こうにいても、音は届きます。小さなブースにとって音は、視覚が塞がれた瞬間にも「おや?」を届けられる、ほぼ唯一の手段です。

SHOWCASEでは、ブースの要素を必ずこの順番で考えます。目的 → ターゲット → 課題 → 訴求 → 来場者行動 → ブース → 接客 → 商談。音は「訴求」を「来場者行動」に変える装置の一つです。つまり、スピーカーから流す言葉は、キャッチコピーとまったく同じ基準で選ばなければなりません。

その基準とは、流すのは自社が言いたいことではなく、相手が困っていることだ、というものです。

商品名も、社名も、技術名も、来場者は知りません。知らない名前を聞いても、自分に関係があるかどうかを判断できないため、耳は素通りします。反対に「◯◯の手直しに時間を取られていませんか」のような困りごとの言葉は、当てはまる人だけが反射的に振り向きます。会いたかった相手にだけ届く、という点でも、悩みの言葉のほうが効率的です。

ここで注意したいのは、音量で勝負しないことです。展示会には出展規約があり、マイクの使用は原則禁止、音量にも制限が設けられているのが一般的です。大音量の呼び込みは、その場で使用停止を命じられることもあります。勝負するのは音の大きさではなく、言葉の選び方と、繰り返しの設計です。

来場者がブースの前を通過するのは1〜2秒です。一度で全部を伝えようとせず、短い一文を一定の間隔で繰り返してください。誰が通っても同じ一文が耳に入る状態をつくることが目的です。

音で振り向いた人は、その時点ですでに「自分に関係がありそうだ」と判断しています。振り向いた先にキャッチコピーがあれば「へぇ。」に進みます。音は接客の代わりではありません。接客を始められる回数を増やすための装置です。

今日やること

スピーカーで流す一文を、一つだけ書いてください。条件は二つです。

一つ目は、商品名・社名・技術名を入れないこと。二つ目は、会いたい相手が社内の会議で実際に口にしている「困りごとの言葉」を、そのまま使うことです。

書けたら声に出して読んでみてください。5秒以内に収まっていれば完了です。音源の準備や機材の手配は、この一文が決まったあとで構いません。

まとめ

音は、ブースを賑やかにするためではなく、視覚が遮られたときにも「おや?」を届けるためにあります。流すべきは、あなたの商品名ではなく、相手の悩みです。


この記事を読んで、自社のブースはどうなのか気になった方へ。SHOWCASEでは、現在のブースを認知 → 興味 → 理解 → 接触 → 商談の流れから確認し、どこで来場者を取りこぼしているのかを無料で診断しています。

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