集客・キャッチコピー・訴求設計
展示会のカタログは「平積み」をやめる|表紙を立てるだけで、資料が集客装置に変わる
イシモトキンヤ
搬入日の最後、会議テーブルの端にカタログを積み上げ、「ご自由にお取りください」と書いた紙を添える。会期が終われば、減らなかった束を段ボールに戻して持ち帰る。毎回、同じことをしていないでしょうか。
カタログは、多くの中小企業にとって最もお金と時間をかけて作った印刷物です。それがブースの中で一番目立たない置かれ方をしている——このズレに気づくと、1〜2小間のブースにはまだ使える面が残っていることが見えてきます。
カタログを「配るもの」だと決めつけていないか
なぜ平積みにするのか。理由はシンプルで、カタログを「話した後に渡すもの」だと考えているからです。
認知 → 興味 → 理解 → 接触、という流れの中で、カタログは一番最後、接触した人へのお土産として位置づけられている。だから置き場所も動線の端、テーブルの隅になります。
ここで起きているのは、二つの取りこぼしです。
ひとつは、表紙が誰にも読まれないこと。カタログの表紙には、たいてい商品写真と、その商品が誰の何を解決するのかを示す一行が載っています。社内で何度も議論して決めた、いわば完成度の高い訴求面です。それを水平に伏せている。通路を歩く来場者の視線は正面と斜め前にあり、テーブル面まで下りてきません。読まれないまま2日間が終わります。
もうひとつは、取られても会話が起きないこと。「ご自由にお取りください」は、来場者にとって「声をかけられずに済む」という合図でもあります。結果、カタログは減ったのに名刺が増えない、という状態が生まれます。
悪いのは平積みという行為そのものではありません。カタログをブースの中でどの役割に使うか決めていないまま、置き場所だけ決めていることが問題なのです。
ブースに置くものを「どの段階を担うか」で仕分ける
SHOWCASEでは、ブースにあるものすべてを「これは、おへその法則のどこを担当しているのか」という基準で棚卸しします。
おや?|認知 通路から「自分に関係がありそう」と気づかせる
へぇ。|興味 足を止めさせる
そうなんだ。|理解 商品・写真・デモで納得させる
次の行動|接触 会話・名刺交換・商談予約へ進ませる
この基準でカタログを見直すと、担当できる役割が二つあることがわかります。
ひとつめは「認知」です。
表紙を立てて通路に向ける。それだけで、A4の訴求面が一枚増えます。1〜2小間のブースで、通路に向けられる面の数は限られています。すでに手元にある印刷物を一枚立てるのは、追加費用ゼロで訴求面を増やす方法です。
高さは、床から90〜100cm。SHOWCASEが展示会のゴールデンゾーンと呼んでいる範囲です。レンタルの会議テーブル(高さ70cm)にそのまま置くと、来場者は見下ろさなければ表紙を認識できません。台の下に角材を入れて嵩上げするか、スタンド自体に高さを持たせてください。
ふたつめは「接触」です。
カタログに手を伸ばす動作は、来場者が自分の意思でブース側へ一歩踏み込む瞬間です。スタッフにとって、これ以上に自然な声かけのきっかけはありません。「捕まりたくない」と身構えている来場者に対して、こちらから話しかけるのではなく、相手が動いた直後に応じる。だから、スタンドは通路際から手が届く位置に置きます。奥に置くと、取るために「ブースの中まで入る」という別のハードルが発生してしまいます。
ここで一点だけ注意があります。カタログを情報の完結装置にしないことです。表紙で「おや?」をつくり、中身は担当者の説明があって初めて意味がわかる状態にしておく。すべてが紙で完結してしまうと、質問が生まれず、会話も生まれません。
判断基準は、次の二つの問いに集約されます。
「このカタログの表紙は、通路から読めるか」
「これを取る動作は、会話のきっかけになるか」
カタログを1冊、立てて3m離れる
自社のカタログを1冊手に取ってください。それを床から90〜100cmの高さに、表紙が正面を向くように立てます。会議室の机なら、上に箱を置いて高さをつくれば十分です。
そこから3メートル離れて、表紙を見てください。
表紙の一行が読めれば、そのカタログは訴求面として使えます。読めなければ、今のままでは「置くだけの資料」です。
判定はこれだけです。5分で終わります。
まとめ
カタログは、商談の後に渡すお土産ではなく、通路に向けられる最後の訴求面です。
自社のブースはどうか、気になった方へ
SHOWCASEでは、現在のブースを 認知 → 興味 → 理解 → 接触 → 商談 の流れから確認し、どこで来場者を取りこぼしているのかを無料で診断しています。