集客・キャッチコピー・訴求設計
ブースとLPは、別物ではない|壁面のパネルは「並べる」のではなく「読ませる」
イシモトキンヤ
壁面に貼るパネル。あの並び順は、どうやって決めましたか。
「大きいものを真ん中に」「バランスよく」「余ったスペースに実績を」。多くの場合、順番ではなく配置で決まっています。一方で、自社のWebサイトのランディングページ(LP)をつくるときは、「最初に何を見せるか」「その次に何を読ませるか」を、かなり真剣に議論したはずです。
同じ会社が、同じ商品を、同じ相手に伝えるのに、なぜ片方だけ順番を考えないのか。この記事が答える問いは、それだけです。結論を先に言えば、ブースの壁面は「飾る面」ではなく、LPと同じ「読ませる面」です。
「Webのデザイン」と「ブースのデザイン」を分けてしまう理由
ブースとWebサイトが別物に見えるのには、はっきりした理由があります。
ひとつは、形が違うこと。片方は画面の中の平面、もう片方は人が入っていく立体空間です。もうひとつは、担当が違うこと。Webは広報やマーケティング、ブースは営業や総務が兼任、というケースは珍しくありません。発注先も、Web制作会社と展示会の装飾会社に分かれます。
分かれているのは自然なことです。問題は、分かれた結果として、ブースだけが「装飾の仕事」に分類されてしまうことにあります。
装飾の仕事になると、判断基準は「見栄え」になります。色は合っているか、余白は整っているか、安っぽくないか。そこに「どの順番で読ませるか」という問いは登場しません。
そのまま本番を迎えると、こういうことが起こります。
パネル1枚1枚は、よく書けている。写真もきれいで、文字も読める。それなのに、通路を歩く人は立ち止まらない。立ち止まった人も、視線が右へ左へ動いたあと、なんとなく離れていく。
このとき出てくる感想が、「デザインが弱かったのかもしれない」です。そして次回、デザインにお金をかけます。
SHOWCASEでは、ここが誤診だと考えています。多くの場合、壊れているのはデザインの質ではなく、情報の順番です。順番が決まっていない壁面は、パネルが3枚あっても、読み手のなかで1本の話になりません。悪いのはパネルではなく、順番を決めないままパネルを並べた状態のほうです。
LPの4ステップを、そのまま壁面に置き直す
LPには、ほぼ決まった型があります。
共感 → 解決 → 証拠 → 行動
「こんなことで困っていませんか」で自分ごとにさせ、「それはこうすれば解決します」と示し、「実際にこうなりました」で裏づけ、「まずはこちらへ」で動いてもらう。
この型が効くのは、Webだからではありません。通りすがりの人に、短い時間で、次の行動を取ってもらうための順番だからです。展示会の通路を歩く来場者は、まさにその「通りすがりの人」です。だから、そのまま使えます。
SHOWCASEの「おへその法則」と重ねると、こうなります。
LPの流れ | おへその法則 | 壁面での位置 |
|---|---|---|
共感(HERO・課題提起) | おや?|認知 | 遠くから見える最上部・最も目立つ面 |
解決 | へぇ。|興味 | 立ち止まった位置から読める高さ |
証拠 | そうなんだ。|理解 | 展示物・サンプルの近く |
行動 | 接触 | スタッフの立ち位置・商談スペース側 |
LPと決定的に違う一点
LPは、スクロールで順番を強制できます。上から下へしか読めません。
ブースは強制できません。来場者は好きなところから見て、好きなところで離れます。だからこそ、順番を距離と並び順に置き換える必要があります。
縦スクロールの代わりが「距離」:10m先から読ませるのが共感、2〜3mで読ませるのが解決、ブース内で読ませるのが証拠。
横スクロールの代わりが「左右の並び」:人の流れの方向に沿って、共感 → 解決 → 証拠 → 行動を配置する。
ここで一点だけ注意があります。「左から右」は絶対ではありません。主通路をどちら向きに人が流れているかで、読み始めの位置は変わります。小間位置図を見て、来場者が最初に目にする端はどちらかを確認してから並べてください。
なぜ、この順番が商談につながるのか
順番が整っている壁面を読み終えた来場者は、ある状態でスタッフの前に立ちます。
「うちの場合はどうなりますか?」という質問を持った状態です。
これが商談の入口です。共感で自分の課題だと認識し、解決策を理解し、証拠で「本当らしい」と感じた人だけが、この質問にたどり着きます。
逆に、順番のない壁面では、会話が「これは何をする機械ですか?」から始まります。ゼロからの説明に時間を取られ、しかも、その人が会いたかった相手なのかどうかも判別できません。滞在時間は伸びるのに、有望見込み客は増えない。1〜2小間で、スタッフが2名しかいないブースにとって、この差は決定的です。
順番は、企業が言いたい順(会社紹介 → 製品 → 実績)ではなく、来場者が知りたい順(自分の課題 → 解決策 → 裏づけ → 次の一歩)で決まります。目的 → ターゲット → 課題 → 訴求 → 来場者行動 → ブース、という流れで考えれば、壁面は必ず「課題」から始まるはずです。
壁面レイアウトに、4つの番号を振る
今日やることは、ひとつだけです。
前回のブース写真、または今回の壁面レイアウト図を1枚印刷してください。そして、貼ってあるパネル・グラフィック1枚ごとに、①共感 ②解決 ③証拠 ④行動 のどれかを書き込んでください。
書き終えたら、番号が来場者の進行方向に沿って ① → ② → ③ → ④ の順に並んでいるかを見ます。
たいていは、そうなっていません。②が3枚あって①がない、④がどこにも見当たらない、③が入口の一番目立つ場所にある。そのどれかです。
完了の条件は、番号が順番どおりに並んだレイアウト図を1枚つくること。パネルをつくり直す必要はありません。並べ替えるだけで変わるものが、どれだけあるかを確かめてください。所要時間は10分ほどです。
まとめ
壁面は、飾る面ではなく読ませる面。順番の決まっていないパネルは、何枚あっても1枚ぶんも伝わりません。
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