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詳しく説明するほど、商談は遠ざかる|展示会の接客は「最初の60秒」で決まる
イシモトキンヤ
ブースに立ち寄ってくれた来場者に、開発の背景から技術的な優位性まで、時間をかけて丁寧に説明した。相手もうなずきながら聞いてくれた。名刺交換もできた。
それなのに、展示会が終わってから連絡してみると、反応がない。
こういうとき、多くの会社は「説明が足りなかったのかもしれない」と考えます。しかし本当の原因は、その逆かもしれません。
「詳しく説明すること」が誠実さだと思っていませんか
商品や技術に自信がある会社ほど、展示会の接客は長くなります。
理由ははっきりしています。普段の営業では、時間をかけて説明することが誠実さそのものだからです。相手の質問にひとつずつ答え、背景まで伝える。それが信頼につながってきた。だから展示会でも、同じことをします。
ただ、展示会場にいる来場者は、あなたの説明を聞きに来たわけではありません。半日から一日で会場全体を回ることを前提に歩いています。そのとき頭にあるのは、「この会社の話を、いま詳しく聞くべきかどうか」という判断だけです。
その判断が済んでいない相手に長い説明を始めると、何が起きるか。
相手は途中から聞くのをやめます。うなずいてはいますが、それは理解の合図ではなく、会話を穏やかに終わらせるための合図です。そして「詳しい説明を聞いた」という記憶だけが残り、「自社の課題が解決しそうだ」という手応えは残りません。
もうひとつ、小さなブースにとって見過ごせない問題があります。
SHOWCASEでは、ブースが対応できる来場者数を次の式で考えます。
説明員数 × 開催時間 ÷ 接客時間
説明員2名、6時間×2日(合計720分)で、1人あたりの接客が15分なら、対応できるのは96名です。これが5分なら288名になります。
ただ、ここで重要なのは人数そのものではありません。15分の接客をしている間に、本当に会いたかった相手がブースの前を通り過ぎている、ということです。失っているのは名刺の枚数ではなく、商談機会そのものです。
問題は「長く話すこと」ではありません。何のために話しているのかを決めないまま、話し始めている状態が問題なのです。
60秒は「理解させる時間」ではなく「判断してもらう時間」
SHOWCASEの「おへその法則」では、来場者は次の順で動きます。
おや?(認知)→ へぇ。(興味)→ そうなんだ。(理解)→ 次の行動(接触)
最初の60秒が担うのは、「そうなんだ。」までです。理解を完成させる必要はありません。相手が「次に進むかどうか」を判断できる状態まで運べば、その60秒は成功です。
深い理解は、商談の場でつくればいい。展示会の役割は、商談機会を生み出すところまでです。
60秒に入れる要素と、その順番
誰のための商品か(ターゲット)
どんな課題を解決するのか(課題)
どうやって解決するのか(訴求)
その結果、何が変わるのか
次の一歩(名刺交換・デモ・後日の打ち合わせ)
これは、SHOWCASEが一貫して使っている「目的 → ターゲット → 課題 → 訴求 → 来場者行動」という順序そのものです。自社の話から始めず、相手の課題から始める。順番を変えるだけで、同じ内容でも伝わり方が変わります。
削るときの判断基準は、たった一つ
「この一文がないと、相手は次に進むかどうかを判断できないか?」
判断に必要なければ、削ります。創業年、受賞歴、技術方式の正式名称、他社製品との細かい比較。誠実さの証明のつもりで入れている言葉の多くは、その場の判断材料にはなっていません。
そして60秒を守ることは、相手の時間を守ることでもあります。「思ったより早く終わった」という体験は、それ自体が「この会社は話が早い」という印象になり、次の商談への心理的なハードルを下げます。
今日やること|スマホで60秒、撮ってみる
台本を書く前に、まず撮ってください。
スマホを立てて、いつも展示会でしている説明をそのまま話します。終わったら、録画時間を見てください。90秒あったなら、30秒分の言葉が余っています。
削る基準は先ほどの一問です。「これがないと、相手は次に進むか判断できないか?」
完了の条件は、60秒以内に収まった説明が、1本の録画として残っていること。それだけです。所要時間は10分もかかりません。
展示会の接客は、相手に理解させる時間ではなく、相手が次に進むかを判断するための時間です。
この記事を読んで、自社の場合はどうなのか気になった方へ
SHOWCASEでは、現在のブースを「認知 → 興味 → 理解 → 接触 → 商談」の流れから確認し、どこで来場者を取りこぼしているのかを無料で診断しています。