集客・キャッチコピー・訴求設計
展示会でスタッフはどこに立つべきか|ブースの真ん中で待つと、人は入ってこない
イシモトキンヤ
展示会の初日、朝礼を終えてブースに立つ。何となくブースの中央に立ち、通路を歩く来場者に目を向けて「いらっしゃいませ」と声をかける。悪いことは何もしていないはずなのに、来場者は目を合わせず、少し進路を変えて通り過ぎていく。
夕方には「今日は人が少なかった」という会話になる。けれど、通路そのものには人が流れていました。足を止めなかっただけです。
その原因が、商品でもキャッチコピーでもなく、あなたが立っていた場所にあるとしたら、どうでしょうか。
「真ん中で待つ」は、接客ではなく通せんぼになっている
ブースの中央に立つのは、ごく自然な判断です。お客様を正面から迎えるのが礼儀であり、どこから来場者が来ても対応できる。真ん中は、いちばん「気が利いている」ように見える場所です。
問題は、その姿勢ではありません。立ち位置を決める基準がないまま、なんとなく真ん中になっているという状態です。
1〜2小間のブースは、間口が3m前後しかありません。その中央に人が一人立つと、通路から見たとき、ブースの入口の正面を人体が占めることになります。来場者から見えている景色は、こうです。
壁面のキャッチコピーや主役の展示物が、人の身体で半分隠れている
ブースに入る一歩目の進路上に、人が立っている
正面から視線が合う
来場者がブースを避ける最大の理由は「興味がないから」ではありません。「捕まりたくない」からです。強引な営業トークに付き合わされることを、来場者は本能的に警戒しています。正面に立つ人と目が合った瞬間、それは「歓迎」ではなく「関所」として処理されます。
つまり、真ん中に立つことで起きているのは接客ではなく、認知の妨害と、心理的な通せんぼです。声をかける前の段階で、勝負が終わっている状態と言えます。
スタッフは「見えるが、塞がない」位置に立つ
ではどこに立つのか。SHOWCASEでは、立ち位置を「感じの良さ」ではなく、来場者の行動段階から逆算して決めます。
SHOWCASEの中核メソッド「おへその法則」では、来場者は次の順で動きます。
おや?|認知 → へぇ。|興味 → そうなんだ。|理解 → 接触 → 商談
ここで大切なのは、スタッフが必要になるのは「理解」からだということです。
「おや?」を起こすのはキャッチコピーと壁面。「へぇ。」を起こすのは展示物やデモ。この2段階で主役になるべきはブースであって、人ではありません。にもかかわらず真ん中に立つと、認知を担うはずの壁面を自分の身体で隠し、興味を持って近づこうとする人の進路を自分で塞いでしまう。主役を隠しながら、入口に立っているという状態です。
だから判断基準はシンプルになります。
見えるが、塞がない。
これを満たすのが、通路から一歩引いた、斜めの位置です。理由は三つあります。
一つ目は、視界を空けること。 通路の縁から一歩内側に下がるだけで、来場者から見た壁面と展示台の見え方が回復します。認知の邪魔をしなくなる。
二つ目は、進路を空けること。 ブースの中央ではなく片側に寄ることで、来場者が「入っても大丈夫そうだ」と判断できる空間ができます。入りやすさは、広さではなく逃げやすさでつくられます。
三つ目は、関係性が変わること。 正面に立って向かい合うのは、交渉や商談の姿勢です。一方、斜めの位置に立つと、来場者と同じ方向を向いて展示物を見る関係になります。「売る人と売られる人」ではなく、「一緒に見ている人」になる。この差が、最初の一言の受け取られ方を変えます。
そして斜めの位置は、退いているわけではありません。来場者が展示物の前で立ち止まり、「そうなんだ。」に進みたくなった瞬間に、一歩で横に並べる距離です。待ち構えるのではなく、呼ばれたら出られる位置に控えておく。これが商談機会の取りこぼしを減らします。
図面に、立ち位置の「×印」を一つ打つ
今日やることは一つだけです。
自社ブースのレイアウト図(手描きで構いません)を用意し、スタッフの定位置に「×印」を一つ書き込んでください。
条件は三つです。
通路の縁から一歩内側であること
主役の展示物・キャッチコピーの正面を外していること
体の向きが、通路に対して斜めであること
書き込んだら完了です。5分あれば終わります。当日は、この位置を全員の定位置として共有し、現場では床にマスキングテープで印を貼っておくと守れます。
「なんとなく立つ」をやめて、決めた場所に立つ。それだけで、ブースの入りやすさは変わります。
まとめ
スタッフの立ち位置は、感じの良さで決めるものではなく、来場者の認知と進路を塞いでいないかで決めるものです。
この記事を読んで、自社のブースはどうなのか気になった方へ
SHOWCASEでは、現在のブースを認知 → 興味 → 理解 → 接触 → 商談の流れから確認し、どこで来場者を取りこぼしているのかを無料で診断しています。
立ち位置ひとつでも、原因は図面の上で見えてきます。