集客・キャッチコピー・訴求設計
展示会で効果的に集客する考え方 - 中小企業が集客するための”はじめの一歩”とは?
イシモトキンヤ
はじめに
展示会でもっとも注力しなければならないこと、それは「集客」です。展示会はどんなに入念な準備をして、どれだけ予算を注ぎ込んでも集客できなければ出展する意味がありません。そして、展示会で最も難しいのも「集客」です。
中小企業が小さなブースで出展しても、そのブースを目的に来場していただけるお客様はほとんどいません。だから、まずはブースに入ってもらえないことを前提に考えることが肝要です。ここを楽天的に捉えると失敗します。
なぜブースに入ってもらえないかというと、その存在を知られていないからです。会社名も知らなければ、何をやっている会社かも分からない中小企業のブースにわざわざ立ち寄る理由が無いのです。ご自身の立場で考えるとわかりやすいのですが、街で何のお店か分からなかったら入店しませんよね?別にお店を避けているわけではなくて、その存在に「気付かない」のです。
展示会も同じです。まずはその存在に気づいてもらうことが集客の第1歩になります。そして、気づいてもらうためには、興味・関心を持ってもらう仕掛けが必要になります。この仕掛けを「キャッチコピー」と言います。
この記事では、来て欲しいお客様を集客するための方策と、キャッチコピーの重要性について解説します。
来場者の気分を知ろう
展示会はウィンドウショッピング
展示会に来場されるお客様の目的をご存知ですか。来場する目的のほとんどは
業界の新技術や製品などの情報収集
講演やセミナーへの参加
目当てにしていたブースへ行く
といったもので、全部のブースを細かく見たいのではなく、すぐに取引したい企業を探しているわけでもありません。すぐに必要ならネットで検索して、その企業に問い合わせをします。
来場者にとっての展示会とは、実物を見たり説明を聞きながら、多くの情報をいっぺんに深く吸収できることと、偶然の発見を期待して参加するものです。だから、ウィンドウショッピングに近い感覚かもしれません。
今年の秋冬ファッションの流行はどんな感じかなぁと見て回っていたら、たまたまキャンプウェアがディスプレイされていて
「そういえば冬のキャンプに来ていくアウターがもうボロボロだったなー。」
と「気付いて」お店に立ち寄る、という流れです。
展示会はすごく疲れる
キャンプウェアをちょっと見てみるためにお店に入ろうとしたら、店員さんが待ち構えていて
「いらっしゃーせー、よかったらご試着もできますのでどうぞー。」
と詰め寄ってきました。ちょっと見たいだけだったのに、捕まったら嫌だなぁという気分になりませんか。展示会の来場者も同じ気持ちです。
せっかく来たのだから、できるだけ多くの情報に触れたいという意思がある反面、体力的な限界は意外と早く来ます。展示会場のコンクリート床を体験してみるとわかるのですが、2時間も立ちっぱなしで歩くと足と腰に限界がきます。(展示会によっては通路全面にパンチカーペットを敷いていることもあり、あれは疲労が半減しますね)
来場者のほとんどがビジネスパーソンであるため、革靴やハイヒールなら尚更早く限界は訪れます。
そうすると、できるだけ多く見たいけど体力的な限界があるから、自分に関係の無い情報を遮断しないと偶然の発見にも出会えない、という気分になります。
集客のコツ
来場者の気分がわかったところで、いよいよブースに来てもらうための仕掛けについてご説明します。ブースに来てもらうためには次の3つの方法しかありません。
①お声掛けしてブースに誘導する
この方法は簡単に言うと「キャッチ」です。人海戦術でブースの前を通る人にチラシなどを配りながらブースに誘導します。
ブースへの誘導だけを目的とするならそれなりの効果を発揮すると思いますが、この方法を単体で使用するのはあまりお勧めしません。②か③の施策を補強する意味でのお声掛けなら賛成ですが、お客様がまったく来ないからお声掛けしてブースに引き込もうとするのは印象が良く無いですし、関係のないお客様の割合が多くなります。
そして、出展者にとっても良くないのは、何度も断られて心身ともに疲弊することです。
お声掛けは「プラスアルファの施策」と覚えておきましょう。
②何か面白そうだと予感させる好奇心を刺激する
これはお客様が集まりそうなことは想像できると思います。珍しいものや、派手な展示物を置いたり、綺麗なコンパニオンがもらって嬉しいノベルティを配っていたり、着ぐるみを用意したりとイベント感満載で多くの集客が見込めます。人が人を呼び、ブースは活況で、見込客もたくさん集められそうです。
ただこの方法は中小企業にはあまりお勧めしません。展示会場での人気者となって、忙しいけどとても気分良く会期期間を過ごせますが、目的から離れます。目的は、展示会場内でいちばんの成功者になることではなく、新規顧客開拓だからです。
これだけ派手なことをしようと思ったら、まず多大な費用がかかります。その費用を回収するために、獲得した大量の名刺をフォローして商談に結びつけようとしますが、ほとんどが関係のない名刺です。さらに営業リソースが限られている中小企業では、大量の名刺を追いかけられません。展示会後の作業が増えるだけで、目的から遠ざかります。
でも企業や商品のPRが重要な場合はとても効果的です。展示会終了後にホームページやSNS、プレスリリースなどで人気度をアピールすることで認知を広げられます。
好奇心を刺激するなら「PRがセット」と覚えておいてください。
③これは役に立ちそうだという関心を引き出す
中小企業にいちばんお勧めの施策は「キャッチコピー」です。キャッチコピーでブースに来てもらいます。ただし、どんなキャッチコピーでも良いというわけではなく、誘導するためのキャッチコピーには決められたレシピのようなものが存在します。
"地域のお客様と共に福岡で50年、研磨一筋 匠の技"
なんか良さそうですが、このキャッチコピーでは誰も来てくれません。では、どんなキャッチコピーを掲示しないといけないでしょうか。
効果的なキャッチコピーの作り方
人間の心理を理解する
まず人間が最も関心を持っているのは「自分のこと」です。「あなたのことですよ」と限定することで人は関心を持ちます。
そして「これを知っておくと得ですよ」よりも「これを知らないと損しますよ」と呼びかけます。損失回避の法則と言って、人は得するよりも損することを大きく見積もる傾向があります。
例えば、
A.ジャンケンで勝ったら3万円あげるけど、負けたら1万円払ってください B.ジャンケンしないで1万円あげます
と言われた時に、ほとんどの人がBを選択します。確率論で考えたらAの方が得するとわかっていても…です。
困りごとに焦点を当てる
このようなネガティブ情報をキャッチコピーに入れることが有効ですが、展示会におけるお客様が強く反応するネガティブ情報とは何でしょうか。
それはお客様の「困りごと」です。
お客様が日常で抱えている様々な技術的な課題や問題のことです。そして、このような課題を解決してくれるものがブースにあれば「ちょっと見てみようか」ということになります。
そして、その来場者は「見込み客」です。
実際のキャッチコピー例
良い例:
「○○の品質管理でお困りではありませんか?」
「コスト削減の悩み、解決します」
「人手不足による生産性低下を防ぐ方法」
悪い例:
「創業50年の信頼と実績」
「最新技術をご紹介」
「お気軽にお声掛けください」
良い例は来場者の具体的な課題に焦点を当てていますが、悪い例は企業側の都合で作られています。
まとめ
展示会で最も注力しなければならない「集客」は、最も難しいとお伝えしましたが、それはこの「キャッチコピー」をつくるのがとても難しいからです。
来てほしいお客様に深く刺さるキャッチコピーを考えるためには、その元となるコンセプトが重要になります。コンセプトとは
誰に
何を
どのように
訴求するのか、を明確にすることです。コンセプトを明確にし、そこからキャッチコピーを練り上げ、見込客を集客することが展示会成功のための重要ポイントです。
小さなブースでも、限られた予算の中で工夫を凝らし、大企業に負けない魅力的なブースを作ることは十分可能です。大切なのは、来場者の立場に立って考え、本当に役に立つ情報を提供すること。そして、一期一会の出会いを大切にして、長期的な関係構築につなげることです。
集客を考えるなら、まずはキャッチコピーに挑戦してみましょう。きっと、今までとは違った展示会の成果を実感できるはずです。
展示会の集客でお困りの際は、まずは自社の強みと顧客の困りごとを整理することから始めてみてください。その小さな一歩が、大きな成果につながりますよ。
キャッチコピーを工夫しても集客が伸びないなら、原因は“全体設計”にあります。部分最適から抜け出すために、まずは現状を整理しませんか?