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集客・キャッチコピー・訴求設計

【事例多数】小さなブースのキャッチコピーのつくり方|3ステップで集客は変わる(前編)

イシモトキンヤ

2026/6/15 03:00

「展示会の出展、決まったはいいけど、何から手をつければ…」

「小さなブースだから、どうせ誰も見てくれないだろう…」

中小企業の経営者様や展示会の担当者様にとって、このような悩みは尽きないかもしれません。限られた予算とスペースの中で、大手企業のような派手な装飾は難しい。そんな状況で、来場者の足を止め、自社のブースへと引き込む強力な武器、それが「キャッチコピー」です。

この記事では、予算やブースの大小にかかわらず、集客の成果を最大化するための「キャッチコピーのつくり方」を、誰にでも実践できる3つのステップで徹底的に解説します。

なぜ、あなたのブースは素通りされるのか?

展示会で集客を成功させるために「キャッチコピー」は欠かせません。特に中小企業にとって、このキャッチコピー一つで展示会出展の成果が天と地ほど変わると言っても過言ではないでしょう。

「でも、プロのコピーライターでもないのに、心に響く良いキャッチコピーなんて作れないよ…」

そう思われるかもしれませんね。ご安心ください。ここで目指すのは、広告賞を獲るような美しい言葉ではありません。展示ブースにおけるキャッチコピーのたった一つの目的は、「来てほしい人に、一瞬だけ振り向いてもらうこと」。来場者に「おや?」と思ってもらう、ただそれだけです。うまい言い回しや美しい言葉は、必ずしも必要ありません。

しかし、この「おや?」を来場者の心に生み出すことが、実は非常に難しいのです。

現代は、情報過多の時代です。一説によると、私たちが日常的に触れる情報量は、この10年で530倍にもなったと言われています。スマホを開けばSNS、街を歩けば広告、仕事中はメールやチャット。この情報の洪水の中で生き抜くために、私たちは「自分に関係ない情報を無意識に無視する」というスキルを身につけました。

そして、展示会場は、まさにその「情報の洪水」が凝縮された空間です。

何百というブースがひしめき合い、各社が懸命に自社をアピールしています。そんな中で来場者は、ほとんどの情報を無意識にシャットアウトしながら、目的のブースだけを探して歩いています。

この状態の来場者に「おや?」と思ってもらい、足を止めさせることの難しさが、お分かりいただけるでしょうか。閑散としたブースと、人だかりができているブース。その差を生んでいるのが、来場者の無意識の壁を突破できる「キャッチコピー」の力なのです。

では、素通りされるキャッチコピーと、思わず振り向いてしまうキャッチコピーは、一体何が違うのでしょうか?

この記事では、誰でも「振り向いてもらえるキャッチコピー」をつくれるようになるための、具体的な3つのステップを解説していきます。

キャッチコピーは「センス」ではない。「手順」でつくる

もし、上司から「展示ブースのキャッチコピー、イイ感じのを5案くらい考えといて!」と無茶振りされたら、あなたなら何となくそれっぽい言葉を5つひねり出すことはできるかもしれません。

問題は、「その5案は本当に効果があるの?」「来場者の心に刺さる根拠は?」と問われた時に、明確に答えられないことです。

展示会場を見渡せば、ほとんどのブースに何かしらのキャッチコピーが掲げられています。しかし、残念ながら集客に苦戦しているブースの多くは、「不正解のキャッチコピー」を掲げてしまっているのです。

「言葉に正解も不正解もないだろう」と思われるかもしれませんが、それは違います。人の心を動かすという目的においては、明確に「不正解」が存在します。

そして、その「不正解」を避けるための最も確実な方法が、いきなり言葉を作り始めるのではなく、正しいステップを踏むことです。

キャッチコピーづくりは、センスやひらめきに頼るものではありません。料理のレシピのように、決まった手順に沿って考えれば、誰でも成果の出るものを作ることができます。

その手順とは、以下の3ステップです。

  1. ステップ1:コンセプトを明確にする

  2. ステップ2:コンセプトを短いコトバにする

  3. ステップ3:コトバに力強さを加える

これから、この3つのステップを一つずつ、具体例を交えながら詳しく解説していきます。

ステップ1:コンセプトを明確にする【すべての土台】

「キャッチコピーの作り方が知りたいのに、なぜコンセプトの話から?」

そう思われたかもしれません。しかし、これこそが最も重要なポイントです。

展示ブースに掲げるキャッチコピーの「正解」は、練り上げられたコンセプトの中にしか存在しません。言い換えれば、優れたキャッチコピーとは、コンセプトを来場者に伝わる「強いコトバ」に翻訳したものに過ぎないのです。

では、その「コンセプト」とは何でしょうか?

コンセプトとは、「誰に、何を、どのように」という3つの要素を、どのような切り口で見せるかを決定することです。

1-1. 「誰に」:ターゲットは、たった一人に絞り込む

まず最初に決めるべきは、「誰に」ブースに来てほしいのか、というターゲットです。ここで多くの企業が陥りがちなのが、「できるだけ多くの人に来てほしい」と考えてターゲットを広げすぎてしまう失敗です。

「製造業の方、どなたでも歓迎!」

「コスト削減に関心のあるすべての企業様へ」

このようなメッセージは、一見すると多くの人を呼び込めそうですが、実際には誰の心にも響きません。先ほど述べたように、来場者は「自分に関係ない情報」を無意識に無視します。「すべての人へ」というメッセージは、「誰でもない人へ」というメッセージと同じなのです。

小さなブースが大手に対抗するには、ターゲットを極限まで絞り込むことが鉄則です。「このブースは、まさに自分のためにある!」と来場者に思わせるのです。

  • 悪い例: 金属加工業の皆様へ

  • 良い例: 従業員30名以下の金属プレス加工工場の工場長様

  • 悪い例: 人事担当者の皆様へ

  • 良い例: 新卒採用に毎年苦戦している、IT企業の人事担当2年目の方へ

このように、業種、企業規模、役職、抱えている悩みなどを具体的にイメージし、たった一人の人物像が思い浮かぶレベルまで絞り込んでください。その「たった一人」に深く刺さるメッセージこそが、結果的に同じ悩みを持つ100人の足を止めるのです。

1-2. 「何を」:提供価値は、お客様の中に眠っている

次に決めるのは、「何を」伝えるかです。

これは、自社の製品やサービスのスペックを伝えることではありません。ターゲットが抱えている「課題」と、それに対する「解決策(ベネフィット)」を伝えることです。

しかし、この「課題」や「解決策」は、普段意識して仕事をしているわけではないので、すぐには出てこないかもしれません。それを炙り出すための具体的な方法を3つご紹介します。

① 究極の質問をお客様に投げかける

最も効果的なのは、すでにお取引のあるお客様に聞くことです。

「もし、弊社との取引が明日からなくなったら、どんなことに一番困りますか?」と尋ねてみてください。

もし「〇〇(製品名)の発注先がなくなるから困るよ」と返ってきたら、そこで終わらせてはいけません。「なぜ、他社ではなく弊社の〇〇が良いのでしょうか?」「弊社の〇〇を使うようになって、以前と比べて何がいちばん変わりましたか?」と、「なぜ?」を5回繰り返すつもりで深く掘り下げてみてください。

お客様の口から出てくる、価格や品質以外の「助かっていること」「楽になったこと」「安心できること」。その言葉の奥に、あなたが本当に提供している価値=解決策が隠されています。

② 自社の「異常な点」から考える

これは、競合他社と比較して、自社が「異常に」優れている点、尖っている点はどこか?という視点で考えます。

  • 他社には絶対に真似できない、独自の技術は何か?

  • 業界平均と比べて、異常に納品スピードが速くないか?

  • 他社が嫌がるような、面倒な小ロット案件ばかり受けていないか?

他社に無くて自社にあるもの、自社だけが多く持っているもの、自社だけにできること。それらを具体的に書き出し、「この強みは、お客様のどんな課題を解決しているのだろう?」と考えてみてください。差別化された強みは、強力なメッセージの源泉になります。

③ エースの「キラーフレーズ」を盗む

あなたの会社に、”エース”と呼ばれるトップセールスマンはいますか?

商談中に「この一言を言うと、お客様の目の色が変わる」「これを伝えると、ほぼ契約が決まる」という、魔法のような言葉(キラーフレーズ)を持っている営業担当者は少なくありません。

その言葉こそ、お客様の心を鷲掴みにする「課題」と「解決策」の本質を突いています。ぜひヒアリングしてみてください。そのキラーフレーズは、磨き上げればそのままキャッチコピーとして使える可能性を秘めています。

1-3. 「どのように」は最後に考える

「誰に、何を」が決まったら、最後に「どのように」見せるかを考えます。「どのように」とは、デモンストレーションの方法、ブースでの体験、配布する資料など、メッセージを効果的に伝えるための具体的な手法です。キャッチコピーと連動させることで、ブース全体に一貫性が生まれます。これは「誰に、何を」が固まった後に考えましょう。

前編のまとめ

今回は、小さなブースでも集客を成功させるための「キャッチコピーの作り方」の3つのステップのうち1ステップ目だけを解説しました。

  • ステップ1:コンセプトを明確にする(誰に、何を伝えるか)

後編ではステップ2と3を解説していきます。

  • ステップ2:コンセプトを短いコトバにする(一言で言うと何か)

  • ステップ3:コトバに力強さを加える(4つのテクニックを活用)

ぜひ後編も合わせて読んでいただけると幸いです。コンセプトにセンスは必要ありません。あるのは手順だけです!


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