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失敗・NG・注意事項・担当者の悩み

展示会に出展することが目的になってはいけないのはなぜ?

イシモトキンヤ

2026/6/29 03:00

はじめに

今日は「展示会に出展することが目的になってはいけない」という言葉について考えてみます。いろんなコンサルや専門家の方々が口を揃えて同じことを言います。ということはこれは展示会の真理なのでしょう。

では、なぜ出展することが目的になってしまってはいけないのか?それではうまくいかないから、というのはなんとなくわかります。なんとなくダメなことだという気がします。ではなぜうまくいかないのか?そこが考えるポイントになりそうです。

この疑問を解決するために、まず「出展を目的にしている人」の思考パターンを分析し、次に成功事例との比較を通じて、真の問題点を明らかにしていきましょう。

1. 出展を目的にしている人の考え方

それでは、仮説を立てて検証してみましょう。展示会に出展すれば集客できて商談につながり、新しいお客様と新しい関係ができあがる、と考える人は「大型ショッピングモール」に出店するようなイメージを持たれているのではないか?というのが私の仮説です。

大型ショッピングモールにはたくさんの人が集まり、その集客自体はイオンモールなどのデベロッパーが担ってくれます。そしてそこに出店すれば、単体の店舗を構えるような独自のやり方よりも大きな成果に繋がりそうです。

例えば、冬物のセーターを買いにきたお客さまが、メガネ屋の前を通った時に「そういえばメガネもそろそろ買い替えたいなぁ」と思って中を覗いていく。そして気に入ったものがあれば購入してもらえるということがあります。こうして「目的買い」だけでなく、「ついで買い」というチャンスも得られるために、ショッピングモールへの出店は有効であると言えます。

この「ついで買い」の心理は非常に強力です。お客様は既に買い物モードになっており、新しい商品やサービスに対する心理的なハードルが下がっている状態です。さらに、ショッピングモールという環境が「安心して買い物できる場所」という信頼感を醸成しているため、初めて見る店舗でも気軽に入店できるのです。

一方で展示会においても、主催者が3日間で1万人以上の来場者を集客してくれますので、出展するだけで効果があらわれそうな気がします。しかしそうはならないのが実情です。とすると、両者の違いを見つけることができれば、なぜ「展示会に出展することが目的になってはいけない」のか、ということが理解できそうです。

2. ショッピングモールと展示会の根本的な違い

ここで重要なのは、来場者の心理状態の違いです。ショッピングモールに来る人は「何かを買いたい」という明確な購買意欲を持っています。一方、展示会の来場者は「情報収集」や「勉強」を目的としている場合が多く、即座に購買に結びつくとは限りません。

また、滞在時間も大きく異なります。ショッピングモールでは家族連れが半日以上かけてゆっくりと回遊しますが、展示会では限られた時間で効率的に情報を収集しようとします。この時間的制約が、来場者の行動パターンに大きな影響を与えているのです。

3. 出展を目的にしても良い場合の2つの条件

3-1. すでに多くの人に知られている

メガネ屋で例を挙げましたが、大型ショッピングモールに入っているお店と言えば「JINS」「Zoff」「OWNDAYS」「武田メガネ」など誰もが名前を知っているようなお店ばかりです。ふらっとお店に立ち寄るお客様の行動の前提には「すでに知っている」ということが重要な要素である気がします。

これらの有名ブランドが持つ力は絶大です。お客様は事前に商品の品質やサービス内容、価格帯などをある程度把握しており、「安心して利用できる」という前提でお店に向かいます。つまり、営業や説明の必要が最小限で済むのです。

さらに、知名度が高いブランドは「口コミ効果」も期待できます。一人のお客様が満足すれば、その家族や友人にも紹介してくれる可能性が高くなります。これは新規顧客獲得において非常に重要な要素です。

3-2. 出店場所への信頼がある

では次に、名前を聞いたこともないようなメガネ屋があったらどうでしょう?例えば「マジ卍メガネ」という黒縁眼鏡だけを取り扱っているお店が大型ショッピングモール内にあった場合を想像してみます。

お客様は知らないお店だから立ち寄らないか?と言えばそんなこともなさそうです。新しいメガネ屋ができたんだと思って、逆に興味を持って入店しそうです。

この顧客心理の裏側にあるものは、大型ショッピングモールへの信頼です。自分は今まで知らなかったけど、きっとどこかの土地で流行した人気店がわが街にもできたのだ、と考える人が多そうです。大型ショッピングモールに出店できる、というだけで価値のあるお店だと思ってもらえます。

この「場所への信頼」は、モール運営者が長年かけて築き上げてきた資産です。厳格なテナント審査、統一された店舗デザイン、充実したアフターサービスなど、様々な要素が組み合わさって「このモールにある店なら安心」という信頼感を作り上げています。

また、モール内のテナント同士にも相乗効果があります。有名ブランドと隣り合うことで、無名の店舗も「同等レベル」の印象を与えることができるのです。

これらの仮説から、出展することが目的でも良い場合の条件とは、以下の2つであると考えられます。

  • すでに多くの人に知られている(お店にブランド力がある)

  • 出店場所への信頼がある(場所にブランド力がある)

4. では、展示会ではどうなのか?

これらの条件を踏まえて展示会について考えると、少しずつ見えてくるものがありそうです。小さなブースで出展する中小企業が「出展することに意味がある」と考えてしまうと次のような事実に直面します。

4-1. 知られていない中小企業の現実

まず小さなブースで出展する中小企業のことは、ほとんど誰も知らないという事実です。それなのに社名だけを掲げて「どうぞウチに来てください」というのは少し乱暴で、知ってもらう努力をすることが必要不可欠です。

人間は知らないところへ行くことにストレスを感じます。そのストレスを超える「何か」をつくること、そして工夫することが大切な考え方です。出展すればなんとかなるではなく、知ってもらう方法までを考え抜いてから出展するというのが本来の順序です。

具体例を挙げると、社名を大きく掲げることの意味があるのは、大きなブースか、その名を知られている大手企業だけです。中小企業の場合は、むしろ「何をしている会社なのか」「どんな課題を解決してくれるのか」を明確に伝える必要があります。

さらに、来場者の立場になって考えてみましょう。展示会場には数百ものブースが並んでいます。その中で、知らない会社名だけが書かれたブースと、自分の抱えている課題の解決策が明確に示されているブースがあったら、どちらに足を向けるでしょうか?答えは明らかです。

4-2. 信頼が担保されていない場所の問題

また「マジ卍メガネ」のように知られていないお店と、B2B展示会に小さなブースで出展する知られていない中小企業との明らかな違いは、B2B展示会には誰でも出展できる、ということです。

展示会主催者にとって出展者からの出展料が収入源である以上、出展者のセレクションは行われません。良い悪いではなく、そのような建て付けになっています。すると、展示会場には有象無象のブースがあるということが前提となり、そういう意味においてはB2B展示会には信頼がありません。

つまり価値のあるブースもあるが、価値のないブースもあるよね、という前提でお客様は来場しており、ただ出展することを目的とした工夫の無いブースを当たり前のように通り過ぎてしまうのです。

この状況をより詳しく分析すると、展示会来場者は「宝探し」のような心境で会場を歩いています。多くのブースの中から、自分にとって価値のある情報や商品・サービスを見つけ出そうとしているのです。

そのため、来場者は非常にシビアな目でブースを評価します。パッと見て「自分には関係ない」と判断されれば、足を止めることなく通り過ぎてしまいます。逆に言えば、一瞬で「これは自分に関係がありそうだ」と思わせることができれば、立ち止まってもらえる可能性が高くなります。

5. 成功する小さなブースの特徴

では、どのような工夫が必要なのでしょうか?成功している小さなブースには共通点があります。

まず、「誰に対して」「何を」提供するのかが明確になっています。例えば「製造業の品質管理担当者の工数を50%削減するシステム」のように、ターゲットと効果が具体的に示されています。

次に、来場者が抱えている課題を理解し、その解決策を分かりやすく提示しています。技術的な詳細よりも、「どんな悩みが解決されるのか」を重視した構成になっています。

さらに、実際の導入事例や具体的な数値を用いて、信頼性を高める工夫をしています。「○○社で××%のコスト削減を実現」といった実績は、強力な信頼の証となります。

まとめ

以上、「展示会に出展することが目的になってはいけない」と言われる理由を検証してみた結果、B2B展示会と大型ショッピングモールはまったくの別物であり、小さなブースで出展するだけでは効果が期待できないことを考察してみました。

でもこれ、すべて想像です。そもそも、展示会とショッピングモールを同じだと思っていない!とツッコミを入れられた方もいらっしゃると思います。

では、小さなブースにとってのB2B展示会と同じものって何でしょうか?私は「婚活パーティー」だと考えています。長くなりましたので、次回はその辺のところを書いてみたいと思います。

重要なのは、展示会出展を成功させるためには、事前の準備と戦略が不可欠だということです。「とりあえず出展してみよう」ではなく、「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを徹底的に考え抜いてから臨むことが、小さなブースで大きな成果を生むための第一歩なのです。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!