集客・キャッチコピー・訴求設計
【事例多数】小さなブースのキャッチコピーのつくり方|3ステップで集客は変わる(後編)
イシモトキンヤ
前編ではコンセプトを明確にする重要性とその方法について解説しました。引き続き、そのコンセプトをキャッチコピーに落とし込むまでの手順を解説していきます。
ステップ2:コンセプトを短いコトバにする【削ぎ落とす勇気】
さて、ステップ1で「コンセプト」は明確になりましたか?
おそらく、「従業員30名以下の金属プレス加工工場の工場長が抱える、熟練工の退職による技術継承問題を、当社のAI画像認識システムが解決し、新人でもベテランと同じ品質を維持できるようにします」といった、少し長めの文章になっているはずです。
それでまったく問題ありません。コンセプトは、キャッチコピーの設計図であり、詳細であるほど良いのです。
ステップ2では、この設計図から贅肉を削ぎ落とし、メッセージの核(コア)を取り出す作業を行います。
そして、ここで覚えておいてほしい絶対法則があります。それは、
「コトバは、短ければ短いほど強くなる」
ということです。
展示会場を歩く来場者が、あなたのブースに注目するのは、わずか1~2秒。その一瞬で意味が理解できなければ、存在しないのも同じです。瞬間的に理解できる力強さこそ、キャッチコピーの命です。
では、どうやって短くするのか。
それは先ほど練り上げたコンセプトの文章に向かって「で、それってつまり、一言で言うと何?」と何度も自問自答してください。
例:コンセプト文
「従業員30名以下の金属プレス加工工場の工場長が抱える、熟練工の退職による技術継承問題を、当社のAI画像認識システムが解決し、新人でもベテランと同じ品質を維持できるようにします」
↓ つまり、一言で言うと?
「ベテランの技を、AIで新人でも使えるようにする」
↓ もっと短くすると?
「ベテランの技を、AIで継承」
↓ もっと強くすると?
「“職人のカン”を、数値化します」
いかがでしょうか。どんどん言葉が研ぎ澄まされ、強くなっていくのがわかると思います。コンセプトの中の言葉がそのまま使えることもあれば、まったく違う言葉で表現されることもあります。
「もうこれ以上は短くできない」という極限まで、言葉を削ぎ落としてみてください。この短い言葉こそが、次のステップで力強いキャッチコピーに化ける「原石」となります。
ステップ3:コトバに力強さを加える【心にフックをかける技術】
ステップ3にして、ようやく具体的なキャッチコピー作りの「テクニック」の話に入ります。ステップ2で見つけた「言葉の原石」を、来場者の心に突き刺さるように磨き上げていきましょう。
キャッチコピーのテクニックは無数にありますが、ここでは特に小さなブースの展示会で効果を発揮する、実践的な4つのテクニックをご紹介します。
参考になるのが、YouTubeの動画タイトル(サムネイル)です。
今やYouTubeは、情報収集や学習のためのツールとしても広く使われています。ホーム画面に並んだたくさんの動画(レコメンド)の中から、私たちは一瞬で「見るか、見ないか」を判断しています。
これは、多くのブースが並ぶ展示会で、来場者が「立ち寄るか、通り過ぎるか」を一瞬で決める状況と非常によく似ています。そして、その判断基準となるのが、動画の「サムネイル」であり、展示会の「キャッチコピー」なのです。
では、人を惹きつけるYouTubeのタイトルには、どんな工夫がされているのでしょうか。そこから応用できる4つの強力なテクニックを見ていきましょう。
テクニック①:「数字」を入れて具体的にする
「10分でわかる!改正電子帳簿保存法」
「コストを30%削減した、たった一つの方法」
「トップ営業がやっている3つの口癖」
タイトルに数字が入っていると、人はなぜか内容を知りたくなります。これには2つの理由があります。
具体性が増す: 「コストを削減する方法」と言われるより、「30%削減する方法」と言われた方が、効果が具体的にイメージでき、興味をそそられます。
限定感・断定感が生まれる: 「ポイントは3つあります!」と言われると、話の内容が整理されていて聞きやすそうだと感じます。数字は、情報に輪郭を与え、説得力を生み出すのです。
また、「1g」よりも「1,000mg」と書いた方が効果がありそうに見えるように、数字には物事をすごく見せる効果もあります。
【応用例】
(原石)コスト削減 → (キャッチコピー)年間120万円のコスト削減を実現する方法
(原石)業務効率化 → (キャッチコピー)毎日の入力作業が5分で終わる!魔法のツール
(原石)不良品を減らす → (キャッチコピー)不良率を80%改善した、7つの工場が証明済み
テクニック②:「ノウハウ」を組み入れて価値を高める
「〇〇の正しい使い方」
「失敗しない〇〇の選び方」
「プロが教える〇〇の裏ワザ」
「方法」「やり方」「秘訣」「コツ」といったノウハウ系のキーワードは、何かを学びに来ている人、情報を得ようとしている人に強く響きます。展示会の来場者は、まさにこの「学習意欲が高い状態」にあります。この心理を利用しない手はありません。
【応用例】
(原石)高精度の検査装置 → (キャッチコピー)熟練の検査員でも見逃す微細なキズを100%見抜く方法
(原石)新しい人事評価制度 → (キャッチコピー)社員の離職率が半減する、人事評価制度3つのコツ
(原石)錆びない金属部品 → (キャッチコピー)【技術者向け】10年後も錆びさせないための防錆対策虎の巻
テクニック③:「ネガティブワード」で危機感を煽る
人は「得をすること」よりも「損をすること」を強く避けたい、という心理的な傾向(プロスペクト理論)があります。
「100万円もらえるチャンス」よりも「10万円失うリスク」の方に、人は強く反応するのです。
あるYouTube動画では、「得する3つの節約術」というタイトルを「やらないと損する節約術3選」に変えただけで、再生数が30%も向上したというデータがあります。
展示会におけるネガティブワードとは、ステップ1で考えたお客様の「困りごと」や「課題」そのものです。
【応用例】
(原石)安全な足場 → (キャッチコピー)その足場、まだ使い続けますか?重大事故の9割は“慣れ”が原因です。
(原石)情報セキュリティ対策 → (キャッチコピー)あなたの会社の顧客情報、1件300円で売られています。
(原石)補助金申請サポート → (キャッチコピー)もらえるはずの補助金、申請ミスで逃していませんか?
テクニック④:「インパクトワード」で注意を引く
「神資料」
「ヤバいほどわかる」
「常識を覆す」
これらの言葉は、それだけで人の注意を引く力があります。ただし、BtoBのビジネスシーンである展示会では、やりすぎは禁物です。企業の信頼性を損なわない範囲で、効果的に使いましょう。
また、キャッチコピーでは、答えをすべて見せる必要はありません。「え、何それ?どういうこと?」と、あえて少し謎を残すことで、来場者の興味を引き、「答えはブースの中にありますよ」と誘導することが可能です。
【応用例】
(原石)新しいマーケティング手法 → (キャッチコピー)広告費ゼロで、問い合わせを3倍にした“逆張り”マーケティングとは?
(原石)画期的な断熱材 → (キャッチコピー)【業界騒然】エアコンが要らなくなる(かもしれない)次世代断熱材
(原石)経理DXツール → (キャッチコピー)まだハンコを押すために出社してるんですか?
これらのテクニックを組み合わせることで、ステップ2で見つけた「言葉の原石」は、来場者の足を止める強力なキャッチコピーへと進化します。
まとめ:最高のキャッチコピーは、あなたの会社の中に眠っている
今回は、小さなブースでも集客を成功させるための「キャッチコピーの作り方」を3つのステップで解説しました。
ステップ1:コンセプトを明確にする(誰に、何を伝えるか)
ステップ2:コンセプトを短いコトバにする(一言で言うと何か)
ステップ3:コトバに力強さを加える(4つのテクニックを活用)
キャッチコピー作りで最も大切なことは、センスや文章力、小手先のテクニックではありません。すべては、ステップ1で決めた「コンセプト」に合致しているかどうかです。
もし、キャッチコピー作りで迷ったり、アイデアがブレてきたりしたら、必ずこのステップ1のコンセプトに立ち返ってください。あなたのブースが伝えるべきメッセージの「正解」は、そこにしかありません。
今回ご紹介したステップに沿って考えれば、広告代理店やプロのコピーライターに頼らなくても、自社の魅力が伝わり、来場者の心に響くキャッチコピーは必ず作れます。
次の展示会では、ぜひ「おや?」と振り向かれるキャッチコピーを掲げ、ブースに人だかりをつくってください。この記事が、その一助となれば幸いです。
キャッチコピーはできても成果が出ないなら、原因は“設計全体”にあります。言葉だけでなく構造から見直しませんか?